こんにちは古銭の森です。今回は1840年、1841年、1842年、1843年、1844年に発行されたフランクフルトの2ターラー(3-1/2グルデン)銀貨について書いて行きたいと思います。
フランクフルトのコイン史
フランクフルト(フランクフルト アム マイン)はマイン河畔にある自由市で1世紀頃からローマの植民地が建設されていたとされています。
12世紀中盤から、14世紀中盤にかけては帝国の造幣所が設置され、次第にフランクフルト独自のコインが作られるようになりました。
15世紀頃になるとフランクフルト自由市は貨幣製造権を獲得し、グルデン金貨が広く使用されるようになりました。
この時のグルデン金貨には神聖ローマ帝国の名の下に発行されており、フランクフルトとしての発行は17世紀以降となります。
18世紀になるとフランクフルトの都市景観銀貨が登場してきます。1772年のターラー銀貨では当時ドイツ各都市で流行していた市街地風景を描くコイン(都市景観銀貨)が発行されました。
フランクフルトは1866年の普墺(ふおう)戦争でオーストリアを支持したため、勝利を収めたプロイセン軍に占領され、600万フローリンの賠償金を支払った上、併合されてしまいました。
それ以降フランクフルトの造幣局はプロイセンのコインを製造するようになり1866年以後はプロイセンコインののミントマーク”C”で登場するのみとなっています。
19世紀フランクフルト都市景観銀貨
19世紀中旬フランクフルトでは5年に渡り都市景観2ターラー(3-1/2グルデン)銀貨が発行されています。
コインの表面には都市景観と共にケーリュケイオン(カドゥケウス)と豊穣の角(コルヌー・コピアイ)が描かれており、この部分のデザインは1772年に発行されたフランクフルトの都市景観銀貨と同様のデザインとなっています。
ヨーロッパのコインはこのようなギリシャ神話をモチーフにしたデザインを良く取り入れており、芸術的な意味合いでも非常に美しいものがあります。
こちらのコインは1840年〜1844年にかけて発行されました。1840年の年号表記の無いバージョンと1842年に発行されたものが非常に希少で市場においても出てくる事は殆どありません。通常タイプでもカタログ価格はUNCで1000USD〜1300USDと高額となっています。
実勢価格はカタログ価格より高額になる場合が多く、例えば2011年に取引された1840年のタイプ(カタログ価格はUNCで1200USD)はMS62で手数料込み2000USD(約24万円)程で取引されております。
2008年の時点では1841年(カタログ価格はUNCで1000USD)のタイプが同一グレードで1050USD程度でしたのでしたのでその時に比べると値上がりしているように感じます。
大型のコイン(重量37.1g)で大変迫力がありますので都市景観コレクションとして一枚は持っていたいコインだと思います。