「裏面に鳥や昭和十三年と書かれた1銭硬貨があるんだけど価値はどれくらいかなぁ?」と言った疑問にお答えするため今回は昭和13年銘カラス1銭黄銅貨の価値と買取相場について記載して行きたいと思います。
この硬貨ではアルミニウムで作成された試鋳貨(見本貨幣)が存在し、試鋳貨については状態が良ければ50万円を超えるような高価買取が期待できます。
昭和13年カラス1銭黄銅貨幣の詳細
画像は昭和13年(1938年)に発行されたカラス1銭黄銅貨幣です。この貨幣以前に発行されていた1銭硬貨(桐1銭青銅貨)では青銅が使用されていましたが、錫は軍事上重要な金属であったため、この新貨幣の素材では青銅から黄銅へと変更されました。
トムバック黄銅と呼ばれる赤っぽい素材が使用され、表面には「波と八稜鏡に菊と桐の紋章」裏面には「桜花の背景に八咫カラス」が描かれています。
カラス一銭黄銅貨の詳細
項目 | 詳細 |
直径 | 23.03mm |
品位 | 銅900/亜鉛100 |
量目(重量) | 3.75g |
発行枚数 | 113,600,000枚 |
日本のカタログ価格
状態 | カタログ価格 |
完全未使用 | 500円 |
未使用 | 400円 |
極美品 | 300円 |
美品 | 150円 |
並品 | 100円 |
デザインは公募だった
昭和12年に日中戦争が始まると翌年6月に臨時通貨法が制定されました。この制定により政府は貨幣法の改定に依らず新素材の小額通貨が発行可能となりました。
カラス1銭黄銅貨のデザインは当時、公募され八咫烏(ヤタガラス)のデザインが採用されました。5銭や10銭を合わせると当時9331点の応募があったそうです。
昭和13年カラス1銭硬貨の査定相場・買取価格
下記は私が調べたカラス1銭硬貨の実勢価格(業者が販売し実際に中古品市場で取引された値段)と買取相場です。
古銭詳細 | 実勢価格 | 買取相場 |
試鋳貨 NGC MS63(直径20mm) | 9,775USD(約105万円) | 〜950,000円 |
試鋳貨 NGC MS64(直径23mm) | 7,475USD(約80万円) | 〜700,000円 |
完全未使用 PCGS MS65 | 6,500円 | 〜3,500円 |
完全未使用 | 1,000円 | 〜300円 |
極美品 | 100円 | 〜10円 |
買取相場の根拠
また、NGCやPCGSによる鑑定済みコインについても鑑定料や国際送料の分だけ実勢価格・買取価格が高くなる傾向があります。
通常の裸の状態の古銭については残念ながら現存数が多いため価値は高くなく、状態の良いものだとしても業者による買取価格は300円程度が相場の上限と言えます。
試鋳貨とは
画像は昭和13年カラス1銭黄銅貨の試鋳貨(見本貨幣)です。素材は昭和13年〜昭和15年にかけて発行された「カラス1銭アルミ貨(直径17.6mm)」と同様にアルミですが、直径が23mmと20mmとなっています(現在は直径の異なる2タイプが確認されています)。非常に価値が高く、もし本物ならば高価買取が期待できます。
昭和13年カラス1銭黄銅貨幣まとめ
いかがだったでしょうか?カラス1銭黄銅貨は現存数が多いため骨董(アンティークコイン)としての価値はあまり高くありません。
しかし、アルミで作成された試鋳貨(見本貨幣)については価値が非常に高くなっており驚くような価格での査定が期待できます。今回の記事が古銭の売却や換金の参考になりましたら幸いです。